撮影ときどき釣り。//フォトグラファー、ビデオグラファー、フィッシングガイドという管理人による撮影覚え書きと日々の悲喜こもごも、ときどき、フライフィッシングの話題を綴るウェブログです。

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2012/08/25 (Sat) 疾風と豪雨。

夏の終わり。お昼前。連日猛暑日の去ったある日。

天気予報では十勝地方は終日曇りなのに、川につくと雨がぱらぱら降ってくる。見上げた両岸の山すそや岩場には霧が立ちこめモノクロームの水墨画のよう。

対岸のスリックな流れ、ヒラキのどんづまりでライズを見つけて渡渉した。

流下しているのは、テレストリアルから水生昆虫までいろいろのはず。ライズフォームもばらばらで、シッピング、バルジング、スプラッシュなどライズフォームの見本市のよう。岸辺で見つけたのは10番サイズの大きめの羽アリだけ。参考になるような、ならんような。

ライズまでは適度に遠く、場所はだだっ広くて適当な目標物もなくサカナが定位している箇所を特定しづらい。そうなるとドリフトしなければならない距離も長くなりがち。さらには、スプークされないようにティペットがサナカの頭を越えないと思われるレーンに投げるしかない。そんなことを頭の中で巡らせながら、岸辺の砂が濡れたシャツの袖口にくっついてジャリジャリこすれているのに少しイラつきつつ、ペタリと座り込んだまま次のライズを待った。

結んだのは、羽のついた陸生昆虫全般をイメージして巻いたヴァリアントなパターン。ベチャリと水になじませたいからフロータントはなし。

ぽちり、と小さくフライをくわえた瞬間から、周囲のほかのライズをすべて潰し、スプールを逆転させまくって、ものすごい速さで、上流へ下流へ遠くへと走り尽くした疾風のようなマスは、やがてネットに収まった。

_S091285.jpg

そのパワーから想像するサイズに反して、てんで大きくない。けれどコンディションは最高レベルで一条の乱れもない雌。顔つきはまだあどけなくて、少し前までリクルート活動やってた社会人一年生のOLさんくらい。ともあれ、この川のニジマスらしい、端正で麗しいお姿。

なにより、頭部のうしろ、
背中の筋肉の盛り上がりを見てほしい。


_S081281.jpg

あの走り、さもありなん。

原始を感じさせる濃厚な自然。夏の終わり。地点やレーンを絞りにくい広くフラットな流れ。難解なライズ。そのアプローチ。フライパターンと使い方。魚の大きさ以上の喜びを与えてやまないすべてのクオリティにおおいに自己満足した。

撮影をすませて、タバコをいっぷくしていると大粒の雨が降りだす。

明確に身の危険を感じるくらいの迫力でザーーーーーッとはじまって弱まる気配がない。水面からは水煙が立ちこめ、周囲にそびえた高い森の木々がざわめいて、無言のまま、森の奥の漆黒だけがこちらを睨んでかえす。

シャツを伝った雨水がヒタヒタと下半身とたっしたところで、足早に川を後にした。


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フォトグラファー、ビデオグラファー。フィッシングガイド。撮影事務所「Little T&A」、北海道・十勝のフィッシングガイド・サービス「ポロシリフライズ&ガイド」の代表をやっています。

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